【骨髄提供体験談④】入院から採取まで【末梢血幹細胞採取】

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体験談①:ドナー選定通知から血液検査まで
体験談②:血液検査から最終同意まで
体験談③:最終同意から入院まで

今回は、骨髄採取を行うための入院生活で紹介する。

  1. ドナー選定通知から血液検査まで
  2. 血液検査から最終同意まで
  3. 最終同意から入院まで
  4. 入院から採取、退院まで
  5. 退院後の生活

入院は5泊6日。健康体ゆえ、入院生活は初めてで新鮮な気持ちだった。

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入院生活開始!

入院 1日目

11時に入院予定だったので、10時にコーディネーターのTさんと病院で待ち合わせ。

新型コロナの影響で、家族であっても面会は禁止。Tさんから入院の日程を改めて説明してもらい、入院支度金(現金5,000円)をもらう。入院期間中のテレビカードやお菓子、日用品などに使用してくださいとのこと。そういえば、病院のテレビって有料だったな。

骨髄提供は、お金の発生しないボランティア精神に則っているが、提供ドナーに金銭的な負担を生じさせないためのお金だということなので、ありがたく頂戴する。

一通りの説明が終わり、入院する病棟まで移動する。入院の手続きまではTさんが付き添ってくれる。書類を書きながら、薬剤師さん、栄養士さん、担当の看護師さんと自己紹介。担当看護師さんが紹介されると引継ぎをして、Tさんとはここでお別れ。次に合うのは退院の時だ。

自分の病室で、荷物を整理していると。担当医のS先生と、レジデント医(研修医)の先生が挨拶に来てくれた。

しばらくして、担当の看護師さんが病室にきた。身長・体重の測定をして、1回目の採血。入院期間中、採血は毎朝行う。

12時、お昼ごはんが運ばれてくる。入院初日のお昼ご飯から食べれるのはありがたい。健康体なので食事に制限はない。美味しい病院食に感激した。ちなみに、お菓子などのおやつも食べて良い。ただし、採取前日は乳製品が禁止。採取がしづらくなるらしい。食事もハーベスト食という、乳製品が含まれない物になる。

14時30分、入院の事務手続きを行う。保険証を見せたり、部屋代の支払いに署名を行う。今回は、骨髄バンクが入院料金を支払ってくれるので、とにかく同意。

署名をしていると、骨髄提供の説明をしてくれたS先生が病室までお見舞いに来てくれた。ほどほどに雑談をして、しばらく暇になる。

16時、担当医とレジデント医が病室に来た。G-SCF注射の1回目だ。左肩に注射してもらう。注射をした箇所は腫れぼったく感じたが、2~3分後には馴染んできた。

この注射、薬剤を注入されてる!って感じがして結構痛い。新型コロナのワクチンくらいの痛みを感じる。

注射後、ベッドの上で横になり、肋骨の下をぐっと押されて痛みを確認された。これは、脾臓の膨らみを確認しているらしい。今回の注射で、脾臓が膨らむことがあるらしいので触診で確認するようだ。

その後、体温測定と血圧測定。注射を打たれたので体温は少し上がって37.0度だった。血圧は普段と変わらず。

そんなこんなで、夕食の時間。夜ご飯も美味しい!夜勤の看護師さんに変わったので、シャワーの利用について尋ねると、予約して使えるらしい。早速空き時間を調べてもらって、予約をとる。

ジムにある一人用の小さなシャワールームだったけど、シャワーを浴びれるのは嬉しい。

初日はたくさんの人と挨拶したり、事務手続きがあり慌ただしかったが、明日から暇なんだよな〜。

入院 2日目

朝は6時に起床。私のベッドは4人部屋の廊下側。朝日を浴びるためにロビーに行ってみる。給茶機のお茶を飲みながら、東京の景色を見て一服する。すごい充実した朝だな。ここが病院であることを除けばだけど。

朝7時に病室に看護師さんが来て、採血・血圧測定・体温測定をしてくれた。毎朝、この3セットを行うらしい。

朝食を食べながらぼんやりと過ごしていると、8時30分に研修医の先生が来て、2回目のG-SCF注射。今回も左肩。そして、脾臓の膨らみ確認。

先生から体調の変化を尋ねられた。若干腰が痛い気がすると伝えた。(前日の座り過ぎが原因かも?)「念の為…」と痛み止めを処方してくれるみたいだ。

白血球を増やす注射を使用しているので、血液を作る骨髄がたくさんある腰が張るように感じるらしい。骨髄採取に関しては良い傾向らしい。

「痛み止めも我慢しないで飲んでください。」とのことだったが、結局、痛み止めを飲まなかった。

日曜日だったこともあり、院内はかなり静かだ。そして、私は完全に暇を持て余している。この時間を使ってブログの添削をしていた。私がブログを再開できたのは、入院生活のおかげだと思う。

採取日以外は朝に注射をしたら、あとはやることが無いので電子書籍や趣味の道具を持っていくと暇が潰せると思う。健康な体に入院生活はかなり退屈であることだけはお伝えしておく。

19時に血圧と体温測定。夕食後にシャワーをして21時に就寝。うーん…健康的。

入院3日目

7時に血圧測定、体温測定して朝食タイム。入院3日目にしてご飯の時間が一番楽しい。

この日は8時ごろに看護師さんが来て採血してくれた。

今日は月曜日!入退院がたくさんあり、院内に活気が出てきた。私の病室も4人全員が入室して少し賑やかだ。

11時10分ごろにG-SCF注射3回目。相変わらず、注入されてる感が強い注射だ。よく見たら注射した箇所がぽっこりと丘になっていた。そりゃ、こんだけ注入されているから、入れられてる感あるよね。

12時ごろ昼食を取ろうとしたタイミングで、実際の採取をする医師が来室。血液採取について、再度説明をしてくれる。

説明後に、不安点も優しく聞いてくれる。私はお腹が弱いので、採取中にトイレに行きたくなったら、どうするのか確認した。

事前にトイレは済ませておいて欲しいけど、「緊急事態の場合は尿瓶もあるよ」とのこと。健康体の20代男性で尿瓶を経験をするのはちょっと笑い話にもできそうにないので、採取前はトイレ済ませておこう。

13時から1時間ほど昼寝。なんだか昨日よりも眠気が強い。

昼寝から目が覚めると腰と背中が張ってきた。昨日までは「何か違和感がある…かも?」くらいだったが、今日は完全に張ってる。軽い筋肉痛だ。2週間ぶりにラットプルダウンを3セットやったくらいの背中の針を感じる。

寝る時間になるとは腰がかなり重くなってきた。仰向けに寝るよりも、横向きになると少し楽だ。

入院4日目

今日も朝イチ7時に血圧と体温測定して、7時30分に採血。

採決時、血の流れが鈍く時間が掛かってしまった。明日から起きたら水(お湯)を飲んでおくように勧められた。

体調は変化がないので、水分不足なのかしら。

今日からハーベスト食という乳製品が含まれていない食事に切り替わった。牛乳は飲めないけど、食事は相変わらず美味しいね。

11時10分ごろにG-SCF注射4回目。もう、手慣れたもんだね。相変わらず、痛みには慣れないけれど。

今日はブログの執筆が進む進む。病院は誘惑が極端に少ない環境だから、作業を進めるには最適なのかもしれない。

眠る前になると腰と背中が張ってくる。薬の影響もあるのだろうけど、一日中、アグラで座りながら、パソコンに向かっているせいも少なからずある気がする。

入院 5日目(採取日)

7時に血圧と体温測定。今日はそのままの流れで、採血。だったけど、1回目は採血失敗。

2回目は看護師さんも交代して、本気モード。毎回、左腕の肘の部分から採血していたけど、今回だけ手首付近の血管から採取して、無事成功。

血液がうまく流れていないのか、看護師さんと血管を応援していた。無事に必要量が取れてよかった。

朝食後、8時30分ごろにG-SCF注射5回目!これで最後だ!5回目で慣れるかなと思っていたけど、変わらず痛いね。

9時30分に看護師さんから採取に呼ばれる。病室を出て、採取室に向かうと、医師1人、臨床検査技師2人、看護師2人の5人体制でお出迎え。まさに万全の体制。

採取用のベッドは献血ルームにあるいつものベッド。

採取のとたくさんの医療関係者に囲まれた緊張で血圧が150くらいまで上がっていたので、雑談をして緊張をほぐしてくれた。

実際に採取が始まったのは10時くらいだった。

両腕に注射を刺す。この注射の針は献血の時と同じ太さらしい。血液中の成分を壊さないために、太めの針を使用するらしい。

前日に担当の看護師さんから「多分、めっちゃ痛いですよ…」と忠告を受けていたが、献血は良く行なっていたので慣れた痛みというのはおかしいけど、違和感なく注射してもらった。

臨床検査技師の人が採取する機械に電源が入れると「ウィーン、ウィーン」と機械が動き出した。先生たちと談笑しながら採取は進む。この機械を使うにも院内で資格が必要らしく、ベテラン看護師さんが担当してくれる。

針を刺して、看護師さんから「ベッドを調整しますか?」と聞かれたけど、体を起こしたままで採取してもらうことにした。本当に細かなところ、角度調節、腕の高さ、足の位置等まで配慮してくるので、逆に申し訳ない。

骨髄提供の尊さを先生と看護師さんから力説され、めっちゃ褒められる。毎日、患者さんの命を守っている医療従事者には敵わないと思いつつも、良いことをしているという実感が湧くね。

採取した血はイメージしていたよりも薄いピンク色で、「ピンクグレープフルーツみたいな色ですね」と先生に話したら、「赤血球が少ないからあんまり赤くないんですよ」と教えてくれた。血が赤い理由は、赤血球の色素なのね。

楽しく雑談していたが、採取開始から10分後くらいに顔と唇に痺れが生じてきた。体調の変化は都度都度、看護師さんたちが聞いてくれるので、小さな不調でも感じたときに伝えられる。

この時は、採取用機械の振動で痺れていたようなので、ベッドから機械を離してもらった。

採取開始から1時間後、なんだか気分が悪くなってきた。この感じ、貧血に似てるな。とりあえず、看護師さんに気分が悪いことを伝える。

すると、私の顔色を見て一瞬で貧血と判断して、ものすごく素早い対応をしてくれた。ベッドを横に倒して足の位置を上げる。足元を毛布で温めたり、手を握って声をかけてくれて、すぐに良くなった。

貧血気味の人は、初めから寝転んだ状態で採取してもらったほうが良いかもしれないね。

30分もすると体調もバッチリ回復!手を握って、声かけしてくれるのはとても励みになるね〜。看護師さんってすごい!!

体調が戻ってきたタイミングで、お水をもらった。両手が使えないので、紙コップにストローで飲んだ。あぁ〜、染み渡る〜。こんなに水って美味しかったんだ!

採取のペースを少し落として、再会。いつの間にか。1時間くらい眠っていた。平日のお昼なのでTV番組も見慣れていないし、何しろ体を動かせないので暇すぎる。

看護師さんが配慮してくれるので、腕以外は快適なんだけど…

うーむ?なんだか腕に違和感があるぞ。一応、看護師さんに伝えてみるか。

「あの〜、腕が重たくなってきたんですけど」

「確認していますね〜。あれ、針ずれてますね。ごめんなさい、一度刺し直します。」

ということで、左腕の針の位置がずれていたので、針を刺し直した。

30分後、またズレてしまったが、必要な量は採取できていたので、そのまま針を抜いて骨髄採取は終了。針がズレた影響で腕が腫れるようだが、今はまだ、少しぷっくりしている程度だ。

機械の中に血液が残っているので、15分くらいかけて残った血液を体に戻してもらう。

その後止血のため、15分くらい看護師さんたちと談笑。先生から、「たくさん水を飲んでたくさんおしっこしてください。今回の採取で血液を固めにくくする薬が体に入っているので、たくさん水分を飲んで、体の水分を入れ替えてね。」とのことだった。

15時30分、病棟の看護師さんが迎えに来てくれて、車椅子で帰還。採取前に「お迎えは車椅子で行きますね」と言われ、「そんな大袈裟な!笑」と笑っていたけど、採取中に貧血になっているので…なんというか、大変恐縮です。

病室に戻って夕食を食べ終えて、ふと左腕を見てみると腫れ始めていた。うーん、腐り始めたジャガイモみたいだ。

シャワーはやめておくように病棟の看護師さんから言われる。貧血になっちゃったから、仕方がない。

翌日に体調が戻っていたら、朝にシャワーしても良いと言われたので、今日は大人しくしていよう。

コーディネーターのTさんに採取終了を伝えるため、電話する。

採取中の貧血も病院から連絡があったようで、すでに知っていた。報連相が完璧。採取と入院生活について簡単な質問に答えて、「今日はゆっくり休んで下さい」と労ってもらった。

入院 6日目

毎朝恒例の採血。今日は7時40分だった。

8時くらいに担当医から採取量が足りていたことを教えてもらった。長かった入院生活も今日で終わり!

身支度を整えて、10時には退院できた。

病棟から出ると、昨日待ち合わせをしたTさんが待っていた。会計処理を済ませて、しばらく談笑とアンケートに答える。

ここまで、お世話になったTさんと直接会うのは、今日で最後だ。お礼を伝えて、「もしも次回提供ができたら、Tさんをコーディネーターに逆指名しても良いですか?」と聞いたら、「もちろん!よろしくお願いします」と答えてくれた。そんな、Tさんは目頭が熱くなっていたようだ。

こういう人だから、お世辞でもなんでもなく、もう一度お願いするならTさんが良いのだ!

退院後、1ヶ月間は毎週Tさんから体調について確認の電話があるので、楽しみにしていよう。

ドナー候補者に選定されてから3ヶ月弱、わた骨髄提供はひと段落を終えた。

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