【骨髄提供体験談②】血液検査から最終同意まで【末梢血幹細胞採取】

※ 記事内に広告が含まれます

骨髄提供経験談②のアイキャッチ
前回記事はこちら

今回は、血液検査を行うために大学病院へ行くところから始める。

  1. ドナー選定通知から血液検査まで
  2. 血液検査から最終同意まで
  3. 最終同意から入院まで
  4. 入院から採取、退院まで
  5. 退院後の生活

血液検査から採取同意までは約1ヶ月の出来事だ。

広告

選定通知から3週間後 大学病院で血液検査

持ち物

  • ハンドブック
  • 印鑑(シャチハタでも可)

骨髄提供の説明

血液検査当日。採血は午後からなので、会社は半休を取って大学病院へ。

コーディネーターのTさんとは、病院の入り口で待ち合わせだ。秘書然としたスーツ姿の30~40代くらいの女性がTさんだった。

お互いの自己紹介をほどほどにして、身長と体重、血圧を測る。そして、先生を待っている間に診察室で、骨髄提供についての大まかな説明を受ける。

その時に知ったのが、提供方法が2種類あることだった。

①骨髄採取:全身麻酔し、腰の骨から骨髄を採取する方法
②末梢血幹細胞採取:薬を数日間投与し、両腕から成分献血のように採取する方法

骨髄提供のイメージは①が強かったので、説明を受けている時はまさか自分が②の方法で提供するとは思ってもみなかった。提供方法は患者さん側が決めるので、ドナー側は選べない。どちらの方法でも良いけど、患者さんにうまく定着してほしい。

また万が一、骨髄提供後に後遺症が残った場合、最大1億円まで保険金が降りる。手厚い。

問診と採決

骨髄提供の説明を受け始めて、1時間が経った頃、採血と問診、調整を担当してくれる先生(以下、K医師)が登場。これまた優しそうな顔と話し方をされるお医者さんだった。問診中と採決時、Tさんは退出。

K医師とドナー登録した理由など雑談をしながら、問診と採血。採血時、いつもより両腕の血管を確認されたのが印象的だった。

もしも、末梢血幹細胞採取になった時、両腕の血管に注射して血液を採取する。そのため、両腕の血管の太さが重要になるらしい。なるほど!

私の血管の太さは合格だったようで、K医師からも「良い血管!」と褒められた。20代の健康な体ってすごい。

交通費の精算

問診と採血が終わり、Tさんと合流。交通費の精算をしてもらう。この時のために印鑑(シャチハタも可)が必要なのね。

自家用車だったので、移動距離に応じて交通費を現金精算してくれた。もちろん、病院の駐車場代金も支払ってくれる。

てっきり、電車やバスなどの公共交通機関の移動が精算の対象になると思っていたのでラッキーな感じ。本当にドナーは金銭的な負担が無いんだな。

血液検査の結果通知

血液検査の結果は翌日、コーディネーターのTさんから伝えられた。

結果は無事合格。骨髄提供できる条件をクリアできた。

ただし、まだ骨髄提供ドナーに選定されたわけではない。患者さんは並行して最大で10人のドナー候補者をコーディネートでき、その中から最も適合する人がドナーに選定されるからだ。まだ、血液検査の結果が合格したにすぎない。

ちなみに、調整する医師・コーディネーター・ドナー候補者は他にドナー候補者が何人いるかを知ることはできない。もしも、候補者が自分一人だけの時に責任感から、本当は断りたいけど断れない等の状況を生まない為だそうだ。

あくまでも、ドナーの自由意志によるボランティア精神に乗っ取った骨髄提供なのだ。

次に、Tさんから連絡があるのは、ドナーに選定された時だ。しばらくの間は連絡を待ちながら、日常生活を送る。

通知から1.5ヶ月後 ドナーに選定

血液検査から、約3週間後。久しぶりにTさんから電話が…

ドナーに選定された!うおぉ!本当に選ばれた!!やったぞ!

あとは、最終同意をすれば実際に骨髄提供をする準備に入る。そして、Tさんから断るなら最終同意前が最終リミットであることが念押しされる。

とはいえ、こちらは既に提供する気満々で電話を待っていたので、断る意思はない!

こんなに前のめりな人も珍しいとTさんに言われつつ、最終同意面談を行う候補日を伝える。

骨髄提供の最終同意は成人であっても、家族の同意が必要だ。私は関東で一人暮らしだが、両親は地方に住んでいる。家族が最終同意に来る際の交通費も骨髄バンクが負担してくれる。本当に骨髄ドナーに金銭的な負担はないのだ。

また、家族が遠方に住んでいて、様々な都合により最終同意場所に来られない場合は、家族が住む地域の提携病院で最終同意の説明を受けることができる。その際は、家族が住む地域のコーディネーターさんが案内してくれるそうだ。

選定から2週間後 最終同意面談の日程決定

持ち物

  • ハンドブック
  • 印鑑(シャチハタでも可)

ドナー選定連絡の1週間後、最終同意面談の日程が決まった。またまた、電話と郵便による通知だ。もう、Tさんと話しすぎて、友達のような感覚になってきた。

場所は、血液検査をした大学病院。平日の午後からだ。最終同意の席には、K医師とTさん。そして、弁護士の人も同席するらしい。弁護士さんか…初めて会うな。どんな人なんだろ?怖いおじさんだったら、ちょっと緊張するな。

最終同意は母親が来てくれることになり、東京駅で待ち合わせ。名古屋駅ですら一人で行けない人だけど大丈夫かな?と思っていたら、父親が東京出張の日程を合わせてくれたようだ、安心。

実家にも骨髄バンクからハンドブックと共に日程が通知されていたようで、母は既にかなり読み込んでいるようだ。

選定から1ヶ月後 最終同意面談

最終同意当日。東京駅まで母親を迎えに行き、とりあえず私のアパートへ。その後、私の車で大学病院へ移動する。

コーディネーター、Tさんとの待ち合わせは前回と同じで病院の受付。あれ?今回はTさんの他にもう一人、女性がいる。

この女性は、最終同意に立ち会う弁護士さんだった。最終同意面談中に適切な説明がされたか、説明の中に無理強い、強要などの要素含まれていなかったかを判断するために同席してくれる。

勝手な弁護士のイメージで、阿部寛風の男性が来たら緊張するなぁと思っていたけど、小柄で綺麗な女性の弁護士さんでちょっとテンションが上がった。

最終同意面談は、K医師とTさん。そして、弁護士の先生と一緒に行う。

これまでは、「骨髄提供は、いつ断っても大丈夫ですよ」という感じだったが、ここからは違う。

私の最終同意が得られた後、患者さんは私の骨髄を受け入れるため、患者さん自身の白血球をほぼ全て消滅させる。白血球がない=免疫がない状態なので、様々な病気にかかりやすく、重体化しやすい危険な状態なので、無菌室で生活する。

まさに命をかけて私の骨髄を待っている状態だ。だから、最終同意をした後に、骨髄提供を断ることは原則としてできないのだ。

面談は2~3時間ほどかかり、一つの説明が終わるごとに署名と捺印がいる。医療行為とはいえ、健康な体を傷つける(注射針を刺したり、麻酔にかけたりする)ので、ドナーである私とその家族が「同意してますよ」という確認と同意が必要らしい。

血液検査の時に、K医師とTさんから説明を受けているので「了承してまっせ〜」と思いながら署名と捺印。

最終同意終了後、K医師とTさんから、ものすごく感謝された。患者さんの命が救われる可能性が高まったこと、とても尊い行為であることをもう一度説明され、何度も「ありがとうございます」と言われ恐縮だった。私としては、「骨髄提供ってどんな感じなんだろ?」くらいの興味本位が8割くらいで動いていたので、こんなに感謝されるとは思いもしなかった。

最終同意後は、上述したように患者さんは命をかけて私の骨髄を待っている。風邪をひいたり、事故に遭ったりしないように注意して生活せねば!

ちなみに最終同意後であれば、どんな患者さんに骨髄提供を行うのかは教えてもらえる。この時点では、Tさんも患者さんについての情報は知らないようで、患者さんに関する情報は本当にシークレット。患者さんとドナーに接点がないように、徹底的に情報管理がされている印象を受けた。でも、せっかくならどんな人に提供されるのか知りたいね。

そして、Tさんと母親は最終同意面談中に意気投合していた。というか、Tさんが私の母親にベタ惚れしていて、帰り際に「親孝行してくださいね!」とかなり強めに念押しをされた。めっちゃ、仲良しになってるやん。

血液検査から最終同意までのまとめ

血液検査から最終同意まで1.5ヶ月間の出来事だ。ドナー選定通知から一気に話が進んだ。

これ、当事者になると本当に一瞬で話が進んでいく。ドナーの候補通知が届いた時は、不安を感じていたのに、もはや、いまや遅しと提供意欲が高まっている。

血液検査

家族の同意

患者さんとの相性

最終同意面談

これらのハードルを乗り越えて、私は骨髄提供に挑むのだ。これってもしかしてかなりラッキーなことでは!?

コメント