スリランカの青年に道を訊かれて、人生という道に迷いそうになった

道に迷った人のアイキャッチ 人生

 声をかけられやすい体質で、半年に一度くらいは道を訊かれる。

 ある時はバイトの面接に行きたいが場所が分からない中国人にアルバイト先のスーパーまで案内したり、京都の伏見稲荷で「最強」と「無敵」はどちらが強いのかを訊かれたりと、断れない性格を見抜かれているのか、外国人からは話しやすい雰囲気なのか。

 英語は義務教育レベルですらギリギリだから、話しかけられても単語を繰り返したり、身振り手振りになるだけなので申し訳ない。

 そんな感じだから、駅で電車を待っている時に英語で話しかけられた。私、イヤホンしてるんだけどね。

 話を聞いてみるとどうやら、行きたい駅があるがどの電車に乗っていいかわからないらしい。

 「インザワ、インザワ」と言っているので、それらしい地域名を脳内検索。最初、石川県金沢のことを「キンザワ」と読み違えて、それが「インザワ」と聞こえているのかと思って、兼六園の写真を見せたりしたけど、どうにも違う様子。

 一生懸命、「インザワ、インザワ、ドレ?」と言ってる。まぁ、待て慌てるな。私は英語ができないんだ。

 それでも、スマホ片手に「うーん」と唸っていると、彼は日本語を少し話せるようで、「専門学校」や「オープンキャンパス」と言ったことを伝えてくれた。最初から日本語で来てくれや。と思いつつも、「トヨタ」という単語が聞こえた。

 トヨタって自動車メーカーのトヨタだよな…愛知県の豊田市に行きたいわけではなさそうだし。まぁ、私にできることは「トヨタ 専門学校 オープンキャンパス」でググるだけ。

 トヨタの専門学校?インザワ?インザワ?稲沢のことか!

 なんとか電車が来る5分前に解決したものの、私も岐阜に帰るので、車内で少し話をした。

 彼はスリランカから日本に「国際ビジネス」を学びにきた20歳の青年という事がわかった。半年前に日本に来て、今は日本語学校で日本語を学んでいるらしい。写真もいろいろ見せてもらったが、なかなかに裕福な生活を送っている感じだった。

 流暢でなくても、たった半年で日本語を話して意思疎通できるってすごくない?私、中学校から大学まで10年以上英語勉強していたけれど、ハローとサンキューくらいしか自信ないよ。

 やっぱり、祖国を離れて勉強したい!って人は努力と気合が違うんだなーと実感した。

 こちらも英単語と日本語で仕事の話をしたら、彼は驚いた様子で「お前、学生じゃないのかよ!」みたいな事を話していた。やはり、日本人は海外の人からいると若作りに見えるらしい。というか、逆に海外の人、早熟すぎんだよ。16歳でも、十分成人の顔だもんなぁ。

 その後も彼は、どうして日本に来たのかや、これからどんな事をしたいのかと夢を語ってくれた。英語ができない私は多分、6割くらいしか話の内容がわかっていなかったけど、楽しそうに自分の夢を語る彼が眩しく見えた。

 電車が無事、稲沢駅につくと彼は片言の「アリガトウ」を告げて電車から降りて行った。

 なんとなく、就職した会社でやりがいも見つけられずに忙殺されている私は彼と同い年の4年前、何を思って生きていたのだろう。あんなに未来に夢見ていただろうか。今は現実にただ流されているだけの生活になっていないか。何者にも成れない事が薄ら見えて来て、それでもやっぱり何者かになりたかったあの頃。

 今からでも遅くないのなら、私は何を始めるのだろう。

 あれ、なんだろ?なんだか、うまく思いつかない。

 ・・・ 

 いやあるでしょ。なんかほら、あれ

 ・・・

 海外から来た見知らぬ彼から道を訊かれて、自分が道を見失っていることに気がついたそんな出来事。

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